木に興味のある方は、一度は耳にした事があるかと思いますが、
フィトンチッドについて簡単に説明したいと思います。
フィトンチッドとは1930年頃ロシアのボリス・P・トーキン博士が発見したもので、
「植物が傷つけられた際に周囲の細菌などが死ぬ」ことから、
何らかの物質を放出したためと考え、
これをフィトン(植物)チッド(殺す)というラテン語由来のロシア語で名付けました。
これは50~100種類もの化合物の集まりで、微生物の活動を抑制
する作用を持ち、殺菌力を併せ持った 揮発性物質(テルペン類)で、
ファイトアレキシン(昆虫や病原菌に攻撃された時だけに
発せられる物質)と異なり、 常時発散しております。
土に根をはり生きている樹木は動く事が出来ないので、
害虫や病原菌から身を守るために フィトンチッドや
ファイトアレキシン等を作り発散させています。
フィトンチッドは伐採後も発散し続けます。
200年~300年の古材やそれ以上古い木にカンナをかけたり、
切ったりしても香ってきます。(フィトンチッドの一部)
フィトンチッドの効能としては
① リラックス・リフレッシュなど自立神経の安定、
そして肝機能・不眠症・皮膚病・アレルギーの改善に
効果があると言われています。
(例)森林浴・アロマテラピー・おがくず枕・お風呂
②細菌の活動を抑制し殺菌効果があります。
(森林には多くの動物の死骸や排泄物が有るのにも関わらず
すがすがしい香りがするのは、フィトンチッドの浄化作用
です)
(例)ペットや生活臭に効果があります。
③抗菌・殺菌・防カビをはじめ食品の防腐・ダニ・シロアリなどの防虫効果があります。
(例)まな板・お寿司の盛台・カウンター
樹種 |
精 油 含有率 |
主要成分 |
ヒバ |
1.0~1.5 |
ツヨプセン・ヒノキチオール・ クパレン・ドラブリン |
ヒノキ |
1.0~3.0 |
αーピネン・ボルネオール・ yーカジネン・αーカジノール・ ヒノキオール |
スギ |
0.1~1.0 |
クリプトメリオール・ クリプトメリジオール・ σーカジネン・ βーオイデスモール |
この様に人体に対して効能をもたらしながら、殺虫・殺菌に
対しても効果のあるフィトンチッド、
(通常防蟻剤・防虫剤は害虫にも人体にも悪影響を及ぼしますが)天然物質のため副作用の無い人体に 無害なものです。
我々人類はこの素晴らしいフィトンチッドを発散し続ける「木」を有効に使わないのはもったいない話です。
木の持つ不思議な力を次章でもご紹介します。