木は、鉄やコンクリートと違い燃えます。
しかし、それが火事に弱い事に直結しないという事を
ご説明致します。
近年の出来事で、一番印象に残っているのは、やはり9.11の
ニューヨーク世界貿易センタービル崩壊の場面です。
鉄骨はそれ自体燃えませんが、温度の上昇と共にその強度を
失っていきます。
250度に達すると変形し始め、5分も加熱されると半分の強度まで
さがります。
800度に達すると一気にグニャッと曲がってしまい、
建物ですと崩壊してしまいます。
この現象をメルトダウンと言います。
(原子炉の炉心溶融という意味でも使用されますが)
木材はどうでしょうか。
木は420度で発火します。
樹種にもよると思いますが、大よそ0.6㎜/分で燃え進みます。
しかしそのままのスピードで芯まで燃えるのではなく、
表面に炭化した層を形成します。
その炭化層が酸素を遮断し、燃えるスピードを遅くしてくれます。
在来工法の大入れ(木を掘って、部材を差し込む仕口の事)は、
だいたい15㎜前後ですので表面が炭化して、 部材を支えられなく
なり外れるまでに、25分かかるという計算になります。
この考え方を「燃えしろ」と言います。
それと、木の強度が熱によって半減するまでには、20分程度かかる事から、火事になってもすぐに崩れず、 鉄骨に比べ避難する時間
がある(長い)という事です。
しかし、全ての木造建築物がそうであるかというと一概に
言えません。
同じ木造でも2×4工法や、軸組の仕口に金物や金属製のピンを
差し込んでいる様な工法の物は、 「燃えしろ」という概念から
外れます。
それから死因についてですが、建物火災に限っては「火傷」
よりも、暖房器具やボイラー等の 不完全燃焼時に発生する
一酸化炭素による「中毒・窒息死」や、建材や塗料等に使用される
塩化ビニールやウレタン樹脂等の化学物質が、燃焼時に発生する
有毒ガスによる「窒息死」の方が多いようです。
構造別では木造より耐火造の方がこれらの中毒で、亡くなる方が
多いそうですが、 木造でも高気密の住宅等は同じ事が言えると
思います。
ここでポイントになってくるのは、気密や構造の問題ではなく、内装材に有毒ガスを発生しない 天然素材をなるべく使用する
という事になってきます。
住宅ではRC造より木造で、しかも内装材に天然無垢素材を使用
することで、我々人間にとって 一番相性の良い、安心・安全な
家になると思います。