古民家の種類

温暖な地域の農家住宅や寒冷地や山地の養蚕を営む兼業農家など各地で民家のつくりは実に多様であるが、各地域の特徴を見ていく時に民家の特徴が表れやすいのが屋根の形である。岩手県南部地方の曲屋(マガリヤ)は通常別に立てる馬小屋を母屋の一部に組み込んだもので建物がL字の配置になっているものがある。山形は高八方造りと言われるものがあり、これは採光と通風の為に屋根に高窓が設けられている。北関東は切り落とし造りと呼ばれる屋根の正面中央を切り取って窓にした様式が多く、高八方造りと同じく養蚕が屋根裏で行われていた為である。長野の本棟造りは茅葺屋根でなく板葺き、切り妻の妻入り形式の屋根を持ち、勾配が緩く石置き屋根で妻の正面に破風を設け、棟には雀おどしと呼ばれる装飾板が付けられている。それぞれが必要に迫られて時代と生活の多様化で生み出された形ですから観察する事で昔の生活様式が見えてくる気がします。

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